長生き即天下獲り。
幾歳(いくつ)になっても生きなおせ。
此(これ)大器晩成の道也
      
『徳川家康の養生訓』ダイアプレス社

 日本の「湯治文化」や「温泉旅行」普及の功労者でもある「徳川家康」

 家康は自分の子供や家臣を連れ、何度も熱海を訪れ湯治をしています。

「家康様がわざわざ遠くから入りに来ている。温泉というものはやはり良いのだろう」

 大名や庶民の間で話題となり、湯治が広まりました。
 そして、私たちもしっかりと受け継いでいるのです。

前回、私も熱海温泉「竜宮閣」さんに、馳せ参じていますよ。

 「徳川家康」は、江戸時代260年続く「泰平の世」を築いた、誰もが知る戦国武将です。

 「天下人」までの道のりは、平坦なものではなく、幼少期から人質になるなど不遇な時代を生きています。

 合戦でも、大敗戦して命からがら逃げ延びたこともあります。

 何度も危機を経験しながら、着実に名声を上げ「天下人」となれたのは、家康の「学び」があったからでした。

 戦国時代という過酷な環境の中、もともと「臆病」で「弱気」な性格の家康が「生き残る」為の「勉強法」を示す1冊、ご紹介しましょう。

「学び」は「真似び」から始まる

『徳川家康の勉強法』(プレジデント社)です。
著者は歴史家・作家の加来耕三さんです。

「勉強法」とありますが、試験勉強のテクニックや「記憶法」の類ではありません。

 加来さんは、企業向けの講演もされていますが、若手ビジネスマンとの対話を通じ、令和の職場の特色を感じ取っています。

若手と年長者・上司とのコミュニケーションが上手く行かず、組織のパフォーマンスが上がらない、ということです。

 加来さんは、その解決策の参考として「徳川家康の学び」を上げ、本書の目的としています。

 家康が生まれた時から、成長して天下人となり、隠居して亡くなるまでの史実を通して、「学び」が書かれています。

信長と秀吉の「勉強法」についても少し触れていますよ。

 若い人向けに分かりやすく「口述筆記」で書いている、とありますが300ページとボリュームがあり、読み通すのはチョット「しんどい」かもしれません。

家康に関わる様々な武将が出てきます。
個人的に好きなのは、信長・秀吉・家康に仕え、57回の戦に出た「戦場の達人」、「本多忠勝」です。

 しかし、自分でも認めている「凡人」で能力のない家康が、徹底的に学ぶことで危機を乗り越え成功していく過程に、共感しながら読み進めるはずです。

家康は敵や敗戦といった触れたくない事からも、積極的に学んでいくんだ。

 記事の冒頭にある「真似び」とは、真似すること、何事も「学び」は「真似」から入るということです。 

「オタク」な家康

 本の終盤では、家康の衰えることない探求心について書かれています。

「剣術」「馬術」「射撃」「水泳」においては名人の域に達し、老年になっても精力的にこなしています。

天下人になった後でも、自己流ではなく必ず師匠について学んでいる点、さすがだわ。

 「運動オタク」な家康は、「薬オタク」でもありました。

 医学書を何冊も読み、自分で薬の調合や薬草研究もしています。
 
 また、冒頭で述べたように、家康は熱海の温泉が好きでした。

残念ながら本では、家康と温泉のことは書かれていないけどな。

 「健康オタク」家康のことですから、温泉が「体に良い」ことを知っていたのでしょう。

 「学びの達人」であった家康ですが、著者の加来さんは、1点だけ家康の学び足りなかった点を挙げています。

内容は本をお読み頂ければと思います。

 最後に本の中では、家康の「名語録」が幾つも出てきますが、死を迎える際に放ったとされる言葉です。

….我一人の天下とは思うべからず…..
何事も一人にては成り立たぬものぞ