観光地、箱根の玄関口である「箱根湯本」で、長年、主に地元の人たちに親しまれてきた「共同浴場」「弥坂湯」さんに行って参りました。
 
 「泉質の良い温泉だけ入りたいけど、あまり混雑しているところには行きたくない」
 「宿泊の帰りのついでに、気軽に温泉に入りたい」
 「現代的ではなく、レトロな昔懐かしい銭湯に行きたい」


 上記のように思っている方々に、アクセスも良いお風呂場を1件、ご紹介します。
 
 私は、10年以上ホテル業界におり、温泉の管理も担当してきました。
 源泉についても、人一倍のこだわりがあります。
 
 実は訪れた当日、年齢(40代)を考えない無理がたたり、足の筋肉痛がひどい状態でした。
 「弥坂湯」さんのお湯に入り、40分程いましたが、その帰りには筋肉痛がかなり緩和していることに気付きました。
 「源泉掛け流し」の湯の効能が強い証拠です。

 普段、一般的な旅館、ホテルの広い「大浴場」に行かれている方々にも、ぜひおすすめしたいです。

創業76年の共同浴場

「弥坂湯」さんは、昭和24年創業の「共同浴場」です。
 「共同浴場」は、主に地元の方の為に、公共または私設で造られた安い料金で入れる「銭湯」です。
 現在では、地元の高齢者が主に利用していますが、土日祝日には町外や観光客にも利用されています。
 
 元々は「湯本生活協同組合」が運営していましたが、平成19年に箱根町が引き継ぎました。
 昨年には、民間活用の導入事業が検討されており、今後リニューアルされるのか、注目されています。
 
 建物自体は木造1階建てで、看板を含めた正面側は新しくされていますが、やはり年季を感じます。
 のれんをくぐり、中に入ると番台(銭湯の入り口に設けられた見張り台)に番頭(番台にいる受付の人)がおり、まさに昭和の「銭湯」の香りが漂います。

 脱衣場の扉を開けると、鍵付きのスチールロッカーと鏡がついた手洗い場があるぐらいで、実にシンプルな造りです。

 基本的に「共同浴場」には、アメニティやシャンプー、ボディソープはありません。
 
 浴槽に入る際は、体を清潔にする必要があるので、最低でも石鹸1個は持参しなければなりません。
 
 よく見ると、脱衣場の一角の棚に、常連の方の、かごに入ったシャンプー類が、いくつも置かれていました。

単純泉の「源泉掛け流し」

 浴室の扉を開けると、まず目を引くのが、珍しい丸い形をした浴槽です。

 年季の入った給湯口から常時7、8リットルの温泉が出ており、浴槽からあふれているので、「掛け流し」の造りにはなっていました。

 給湯口から出ているお湯は、触ってみて45℃位でしたので、浴槽の温度は41℃位になり、長く入っていられる温度です。
 実際に高齢の方が一人、入られていましたが20分以上浴槽に漬かっていました。
 浴室の換気も良く、暑さはありません。

 新しいカランシャワーが、二つ付いていましたので、使い勝手も良いです。

 泉質は無色透明の「アルカリ性単純温泉」で、クセがなくなめらかです。
適応症としては、「自律神経不安定症、不眠、うつ」になります。
 また、脱衣場に掲示されている「成分に影響を与える項目」を見ると、唯一、塩素系薬剤による「消毒」をされています。
 ※寒冷期に温度が低下した時のみ「加温」すると記載がありました。

 私は、「加温」、「加水」、「循環」、「消毒」をしていない浴槽を「源泉100%掛け流し」と呼んでいます。
 1項目実施なので、誠に勝手ながら「源泉75%掛け流し」とさせて頂きます。
 「75%」でも、近隣の中規模以上の旅館、ホテルの「大浴場」よりは、確実に温泉の成分は濃いはずです。

 浴槽を出ては、冷たいシャワーを浴び、休憩してまた入るを6回繰り返して、風呂場を後にしました。
 
 番頭の方には、写真撮影を快く承諾いただきました。
ありがとうございました。

弥坂湯

住所:〒250-0311 神奈川県足柄下郡箱根町湯本577−577−1
営業時間:午前9時から午後8時30分
休業日:毎週木曜日
※ 都合により、臨時休館あり。
入浴料:大人650円、小人300円
(※町民は別料金)
電話:0460-85-5233
アクセス:電車・バス・車
箱根登山鉄道箱根湯本駅より徒歩10分
小田原厚木道路箱根口ICから国道1号を2km進み、三枚橋を左折、1km
地図でご確認ください。
駐車場
1台(無料)※店前の駐車ですので、近くの有料駐車場(箱根仲町駐車場)に駐車したほうが良いです。