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温泉はなんとなく、体に「良さそう」というイメージを持つ人は多いと思います。
高齢者の方が、共同浴場に通っているの見聞きしたり、温泉地の宿泊施設の案内に、「温泉で疲れを癒す」や「美肌」といった文言をよく目にします。
温泉に入っている人達を見ると、健康そうですよね。
温泉旅館の女将さんも、同様です。
実際に体の中に入れる「飲泉」ならともかく、単に「浸かるだけ」だけだけど、温泉はほんとに体に良いのだろうか、とふと思ったりします。
今まで、なんとなく良いと思っていた温泉について、改めて効果を確認してみたいと思いました。
実をいうと、私は温泉地のホテルに10年以上勤務したことがあり、浴槽管理の経験もあります。
温泉供給の元である「源泉」の点検もやっていました。
毎日温泉に携わっていながら、温泉の効果に対する認識は高くはありませんでした。
お客様から「肌がスベスベになる」「湯冷めしにくい」といった声を聞いて、「そうなんだな」ぐらいの感覚でした。
以下では、今まであまり深く考えてこなかった温泉の効果について、私の経験も交えながらお伝えしていきます。
また、私は温泉研究の専門家ではないので、効果のエビデンスを示すことはできません。
長年温泉の研究をされている専門家の著書を参考に、お伝えしたいと思います。
参考書籍です。
『医師が教える温泉の教科書』
早坂信哉
『温泉はなぜ体にいいのか』
松田忠徳
改めて温泉の効果について知ることで、今後自分に合わせて、積極的に温泉を活用することができます。
温泉の効果 実体験
まず、「温泉は体にイイのか?」に対する答えは、私の体験からいって「YES」です。
温泉浴をすることで、私の抱えていた症状が緩和、消失することを体験したからです。
私は現在40代ですが、昨年から今年にかけて、2つの症状を抱えていました。
・「脊椎神経根症」
・「膝関節の痛み」
40代は、それまでの生活習慣や姿勢のクセにより、ちょうど症状が出始める時期のようです。
「脊椎神経根症」ですが、私の場合、以下のような症状でした。
首の骨「頸椎」の一番下側が「とげ」状に変形し、神経を圧迫して、首から背中の痛みや指のしびれが出る。
現場の仕事である時、長い時間、無理な姿勢で作業しなければならないことがあり、その際突然痛み出したのです。
診察では、骨の変形自体は5~6年前からで、作業が引き金になったようです。
私自身、もともと「猫背」気味で、歪みに伴う長年の「ツケ」が出てしまったようです。
一般的には、鎮痛薬と湿布の使用で数か月程度で、痛みはなくなるとのことです。
骨の変形自体は、首の手術をしない限り治らないのですが、大掛かりな為、痛みが治ればそのままにしておくことが多いようです。
首の手術はちょっと怖いので、とりあえず痛くなければ、まぁいいか、ということです。
普通に椅子に座った状態でも痛みが出るほどでしたが、薬の処方により、3か月ほどでとりあえず痛みは消えました。
「膝関節の痛み」のほうは、常時ではなく、階段の昇り降りや、長く歩いたときに「激痛」とまでいかない「違和感、痛み」が出るというものです。
やはり、長年の姿勢のクセや歪み、筋力の低下から起こります。
ひざの軟骨のすり減りにより痛むのですが、「脊椎」ほど深刻ではないので、市販の鎮痛消炎剤で対処するだけでした。
「脊椎」については、今までと同じ生活に戻り、2か月程経った頃、症状が「再発」してしまいました。
また病院で薬をもらうこともできましたが、「理学療法士」が、「筋力の低下も発症の要因の一つ」と言っていたのを思い出し、「リハビリ」に切り替えました。
たしかに、20年以上継続的な運動はしていませんでした。
「リハビリ」と並行して行ったのが、「温泉浴」なのです。
「温泉療法」という知識があったわけでなく、なんとなく「腰痛の人がよく温泉に入っている」イメージがあったからです。
幸いにも、箱根や湯河原といった温泉地へのアクセスが良い場所に住んでいるので、週2回程入りに行くことができました。
入浴する温泉について、私が意識したのは「源泉100%」の温泉を選ぶ、ということです。
「源泉100%」は、「加水」「加温」「循環」「消毒」を実施していない、純度100%の温泉です。
「源泉100%」かどうかは、脱衣場の「成分に影響を与える掲示事項」を見れば、分かりますよ。
行く前に知りたければ、電話で確認してみましょう。

「成分に影響を与える項目の掲示事項」
余計なものを足していないので、当然、成分も濃く、効果も高いと思ったわけです。
以来、家では「ゴムバンド」を使用した「リハビリ」をし、並行して温泉地に行き、日帰りの「プチ湯治」を行ったのです。
昔の「湯治」は、年に1、2度、温泉地に3~4週間滞在し、「温泉」に入りながら、病を治療する、というものでした。
1週間に2回の「プチ湯治」
温泉地では、1日に2軒宿を訪れ、1回60分程度の貸切入浴をしました。
「源泉100%」は「加水」されていないので、どうしても湯温が高くなります。
42℃以上の「高温浴」では、長湯は禁物で、浸かるのは1分~2分が推奨されています。
42℃以上の「高温浴」は、血管が収縮しやすくなり、入浴事故も起きやすいので、注意しなくてはなりません。
冷たいシャワーを浴び、休憩を挟んで7~8回浸かるのを繰り返していきます。
体が芯から温まり、今ある痛みは緩和しているのを感じます。
温泉に浸かった後、肩こりや筋肉痛が緩和するのは、誰でもイメージはできると思います。
もちろん、温泉は薬ではないので、症状の緩和は一時的で、家に着いた頃には痛みがぶりかえしています。
脱衣場の掲示で「適応症」という言葉を目にしますが、温泉で即、疾患が治るものではない、ということです。
しかし、リハビリと並行して「プチ湯治」を始めてから、1か月程経った頃、痛みが一時的ではなく消えていたのです。
「温泉浴」の繰り返しにより、血流が改善され、例えて言うなら「麻酔が切れても、痛くなくなった状態」になったのです。
痛みが消えてから、半年以上経ちますが、再発していません。
リハビリはそのまま筋トレとして継続し、温泉浴は趣味として、週1回は行っています。
温泉の効果 生活習慣病の予防
以下では、温泉専門家の書籍を参考に、温泉の効果をお伝えします。
「温泉教授」として、長年温泉研究をされている「松田忠徳」先生によると….
まず、温泉浴の主な効果は「生活習慣病」の予防です。
「生活習慣病」は主に以下の疾患です。
がん、糖尿病、脳卒中、動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、肥満症、認知症など
「生活習慣病」は体内の有害な「活性酸素」が過剰になると、罹るリスクが高くなります。
「活性酸素」の原因としては主に以下のものです。
強い紫外線、過剰なストレス、不規則な生活、タバコ、過剰な飲酒、排気ガス、農薬、合成保存料、漂白剤塩素系薬剤
「活性酸素」の増加は、細胞が錆びるという「酸化」であり、体の「老化」となります。
温泉には「活性酸素」を減少、消失させる「抗酸化作用」があるのです。
よって、温泉浴には「生活習慣病」の予防効果があるというわけです。
脱衣場の掲示の「適応症」にも、「高血圧」「糖尿病」などが書いてありますね。
松田先生は、様々な温泉地で、「湯治」の効果の実証調査をされており、著書の中でも健康改善の結果が示されています。
私自身は、これまで内科的な重い疾患はありません。
タバコは吸いませんし、食生活の偏りもないですし、最近では適度な運動も始めました。
活性酸素の原因となる「強い紫外線」については、普段気にしていませんでしたが….
温泉の効果を実感するのは、難しいですが、最近は「風邪」も含めて病気にかかっていないことを考えると、温泉の効果もあると思っています。
温泉の効果「美肌」
温泉の「美肌」効果については、「肌がつるつるすべすべになる」という声を聞いたり、温泉施設も盛んに宣伝しているので、イメージを持っている人が多いと思います。
松田先生の検証によると…
やはり、温泉浴による美肌効果は期待できるとのことです。
「活性酸素」の増加は、肌の「酸化」つまり「老化」ももたらします。
一番分かりやすいのが、「活性酸素」を増やす「紫外線」です。
みずみずしい美肌には、シミやシワを防ぐ必要がありますが、それには紫外線と皮膚細胞の酸化を防ぐ必要があります。
温泉浴は「活性酸素」を減少、消失させる「抗酸化作用」があるので、紫外線による肌の酸化や炎症を防ぎ、美肌をつくるというわけです。
現在のように化粧品がない時代、日本人は、「湯治」により、シミやシワを防止していた、というのです。
また、温泉は、自律神経を整え、内側からの美容力を高める環境もつくりだすのです。
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」のバランスにより機能しています。
・「交感神経」が優位な時は「緊張」「ストレス」を感じる
・「副交感神経」が優位な時は、「休息」「リラックス」できる。
「交感神経」が優位になる原因は、過剰なストレス、不規則な生活、栄養不足、血糖値の乱れなどが挙げられます。
温泉浴は「副交感神経」を優位にし、自律神経のバランスを整え、見せかけではなく、内側から真の美肌力をつくりだすのです。
松田先生の実証では、温泉浴により、正常体温の安定が「副交感神経」の優位をもたらし、美肌、美白効果につながる血流速度の改善がみられたと報告されています。
美肌効果も、私自身、実感するのは難しいですが、温泉浴の後は血色が良く、肌が整っている感じはします。
すでに「40代の男のシミ」があるわけですが、できてしまったものを温泉浴で消失することはできません。
ただ、進行や、新たなシミを予防することはできそうです。
医師である早坂先生の著書では、泉質の一つである「硫黄泉」には、シミの原因である「メラニン」の生成の抑制や、皮膚の弾力性の改善が報告されています。
箱根の「芦之湯」温泉は「硫黄泉」です。
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