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「箱根で一番個性のある温泉は、どこなのだろう?」

 箱根の温泉場は、江戸時代には「箱根七湯」が栄え、明治時代以降には「箱根十七湯」と数が増えて発展してきました。

「箱根七湯」は….
①湯本 ②塔之沢
③堂ヶ島 
④宮ノ下 ⑤底倉

⑥木賀
⑦芦之湯
加えて….
⑧大平台 ⑨小涌谷
⑩宮城野 
⑪強羅 ⑫二ノ平

⑬仙石原
⑭姥子
⑮芦ノ湖 ⑯湯ノ花沢 ⑰蛸川

以上で「箱根十七湯」となります。

 箱根の温泉も「単純泉」、「塩化物泉」など様々です。
 
 その中で最も温泉らしく、国内においても人気の泉質である「硫黄泉」と「三大美人の湯」の一つ「重曹泉」を堪能できる施設をご紹介しましょう。

創業300年以上の「超老舗」

 国道1号線を芦ノ湖方面にひたすら進み、1号線の最高地点(874m)付近から1歩入った、箱根のほぼ中心地に構えるのが、「箱根きのくにや旅館」さんです。
 
 創業は江戸中期で、300年以上を誇り、音楽家や作家など数々の芸術家にも親しまれた「超老舗」宿です。

 今回は、「きのくにや」さんの離れにある貸切風呂で、江戸時代当時の風呂場を再現した「正徳の湯」を体験してきました。
 
 通りを挟んで、すぐ目の前に木造の湯屋があり、30分2,000円貸切で入ることができます。
 
 建物自体は都度補修をしながらも、30年近く経っているとのことで、「レトロ」感があります。

 脱衣場もシンプルですが、内装は綺麗でしっかりしています。

一石二鳥の江戸風呂 「正徳の湯」

 浴室の最大の特徴は、何といっても、江戸時代の入浴の雰囲気を体験しながら、芦之湯の「硫黄泉」(左側)と湯ノ花の「重曹泉」(右側)を一緒に堪能できることです。

 「硫黄泉」は、脱衣場の掲示を見ると、「加温」「消毒」の実施がされています。
 
 「加温」は適温にする為、65℃の町営温泉を入れることで、調整しているとのことです。
 
 「消毒」は、適宜塩素系錠剤を投入しています。

 ただ、画像の通り温泉の注入量と、硫黄含有量が多い為、成分や効能の損失はそれほど大きくはないでしょう。
 
 「消毒」の実施で、厳密には「源泉掛け流し」ではなくなってしまうのですが、極力「源泉掛け流し」に近い状態を維持されてはいます。

 浴槽に入ると、白く濁り特有の「卵の腐敗臭」がして、なめらかで包み込まれる感覚です。
 
 温度はずっと入っていられるぐらい適温でした。

もちろん、機械換気されているので、匂いについては安心してください。

 「硫黄泉」は、シミの原因であるメラニンの生成抑制と、皮膚の弾力性改善の報告があり、「三大美人の湯」の一つです。

「三大美人の湯」は….
①炭酸水素塩泉
②硫酸塩泉
③硫黄泉

 また、一般的に「硫黄泉」「酸性」ですが、こちらはpH6.8のほぼ「中性」ですので、皮膚から皮脂を取りすぎることはなく、安心です。

 一方、「重曹泉」の浴槽は、綺麗に透き通っています。

掲示では、「加温」、「加水」、「循環」、「消毒」なしの「源泉100%掛け流し」です。
 
 ただ、浴槽を見ると蛇口より少量の水が足されており、伺ったところ、夏場は若干加水するとのことです。
 
 あえて言うなら”ほぼ”「源泉100%」でしょうか。

 入浴した感じは、クセはなくサラサラしていて、入りやすいです。
 湯上りもさっぱりしていて、夏向けの泉質です。
 
「重曹泉」は正式には「炭酸水素塩泉」という泉質で、汚れた皮脂や古い角質を落とす効果があります。
 
 なんとこちらも「三大美人の湯」の一つなのです。

乾燥するので、湯上りの保湿液を持っていくのをおすすめします。

 30分間ですが、洗い場はなく、「かけ湯」だけで入る為、浴槽に浸かることを考えても短いとは感じませんでした。

昔の人は、「かけ湯」で体の汚れを落としていたのです。

 浴槽も常にオーバーフローしており、お湯の入れ替わりも早いので、汚れも気にする必要はないでしょう。
 
 二つの浴槽を交互に入るのを繰り返し、十分に堪能して風呂場をあとにしました。

一人サイズの半露天「枯淡の湯」

 別の日に、もう一つの貸切風呂「枯淡の湯」に入りましたので、載せておきます。
 
 場所は「正徳の湯」の隣にあり、木造の半露天風呂になります。

 脱衣場にストーブが置いてありました。
 確かに、冬の時期はかなり冷えるだろうと思います。

 脱衣場の掲示を見ると、「加温」のみ実施されており、ボイラーが使用されています。
 定義上では、「源泉掛け流し」になります。

 浴槽は一人サイズで、温度は41℃位なので、長く浸かっても問題ありません。
 
 給湯口からは、常時30リットル程流れており、お湯の入れ替わりが早いので、汚れも気にならないでしょう。

 周囲の床は、所々板を敷いて補強していましたが、温泉が触れることで腐食が早くなってしまうのでしょう。
 
 踏むのが少々不安でした。
 奥の柵の上が抜けているので、硫黄の匂いは気になりません。

質の高い「源泉掛け流し」の湯は、湯気を吸うこともミネラルを取り込めるので、体に良いのです。

 「硫黄泉」は、皮膚の角質を柔らかくし、溶かしますので、腕を触ると「ツルツル、スベスベ」します。
 
 「正徳の湯」にはなかったシャワーとシャンプー類が備え付けつけられていました。

 「源泉掛け流し」では、シャンプー類やシャワーは使用せず、浴槽の湯のみで済ますことをおすすめします。
 
 最初に浴槽に入る前に、ボディソープは使いますが、かけるお湯は浴槽のお湯を使います。
 
 あとは、頭から全身に何回もお湯をかけていきます。
 最後にシャンプーやボディソープで洗ったり、シャワーを使う必要はありません。

あくまで、鮮度の高い「源泉掛け流し」の場合ですよ。

 温泉浴により、肌の角質は落ちていますし、何より温泉成分を全身に染み込ませた状態のほうが、効果が持続します。

地球からの贈り物「自然湧出泉」

 自然湧出の湯量が豊富なのは、外のモニュメントを見ても分かります。
 
 全ての浴槽のオーバーフローしたお湯が流れているとのことです。

 敷地内に自然湧出の源泉は、数か所あるとのことで、その内の1か所だけ見せて頂きました。 

 3m程掘られた穴で、確かにお湯が湧き出ているのが確認できました。
 
 全ての源泉の湯量は、施設の全浴槽を2~3分で満杯にできる量とのことです。

 温泉はもともとほとんどが雨水で、地下数千mに浸透し、地下のマグマに熱せられて、様々な鉱物や有機物を取り込みながら、地表に表出します。

だから温泉は「自然湧出泉」が一番鮮度が良く、効果が高いのです。

 温泉が庶民のものになったのは、江戸時代と言われています。
 また、温泉の原点は、入浴により病を治癒する「湯治」でした。

今回は「美肌」効果をお伝えしましたが、もちろん「美肌」以外の健康効果もあり、そのことも先人達は知っていました。

 ぜひ、先人達から受け継いだ、箱根で一番の個性を持ち、美肌力の高い温泉を体験してみてください。

箱根きのくにや旅館 

住所:〒250-0523 神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯8番地
電話:0460-83-7045
日帰り入浴:大浴場 一人 1,500円/貸切温泉一人 2,000円(30分)
※貸切風呂は、宿泊者優先
営業:平日(火・水曜日以外) / 12:00 – 17:00 休日/ 12:00 – 14:00 
※状況により、時間を変更する場合あり
公式サイトはこちら

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